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人工知能は「神」になる?

営業課長の谷口です。



昨日の深夜、NHK・Eテレで放送された「ニッポンのジレンマ」というTV番組を見ました。

社会学者の古市憲寿さんと女性アナウンサーのMC2人を中心に、作家や経済学者、医師、起業家といった5名の論客がスタジオ内で横並びに座り、観覧するお客さんを前に、テーマについて議論をすすめる番組だったのですが、『プライバシーのジレンマ大研究』というテーマについての議論を見て、深く考えさせられました。




インターネットでの履歴情報をどう考えますか?


皆さんはインターネットでの検索・閲覧・買い物などの履歴情報を、一部の企業が活用していることについてどう考えますか?

現在インターネット上での個人データを世界的に、圧倒的な規模で集めている4大企業は総称してGAFA(ガーファ)と呼ばれています。

GAFA」とはGoogle・Apple・Facebook・Amazon.comの4社の頭文字をつないだ造語ですが、これらの企業は
検索や情報発信、閲覧や買い物の履歴などの膨大な個人データを蓄積し、事業に活用することで、莫大な利益をあげています。



あなたへのおすすめ商品


皆さんもインターネットを利用した際、今までに買い物した内容に関連付けられた商品が「あなたへのおすすめ商品」として出てきたり、検索した物事に近い内容の広告が表示された経験があると思いますが、これを「レコメンド」と言います。(「推薦する」という意味です。)



「レコメンド」が進化していく


その「レコメンド」を行う『人工知能』は現在まだ進化の途中ですが、数年後には更なる進化をとげ、あなた(個人)がどういう人間で、どう行動し、どういうものが好みかをよく理解し、あなたの好みや行動に沿った提案を行うようになります。

そうなった時に考えられるのは、「あなたが気が付いていない出来事まで人工知能が先に予測できるようになる
ということです。

例えば、ある女性が買い物の際、「今まで注文していなかったAとBを注文した」という出来事があった場合、『人工知能』が膨大なデータに基づき、この年齢の女性がこの時期にAとBを注文したということは、妊娠している確率が高いと判断し、妊婦におすすめの商品を「レコメンド」するということや、
ある男性の個人情報や買物履歴を基に、この男性は現在「がん」である可能性が高いと判断し、薬や診察サービスを「レコメンド」してくるといったことが考えられます。




『人工知能』に頼ることの「是非」


こういった『人工知能』の「レコメンド」の精度があがると、「レコメンド通りに買物しておけばまず間違いないだろう!」と考え、「人工知能を信じて、人工知能の勧めるままに行動すれば幸せになれる可能性が高い!」と考える人が増えることも予想されます。

また、「この人間は、優秀な両親を持ち、この時期からこの本をレコメンドしておけば優秀な人間に成長する可能性が高い」とか、「この人間は行動パターンから考えて優秀な人間になる可能性は低いので…。」と、『人工知能』が個人の成長に判断を下し、「人工知能が敷いた人生のレールを人間が歩むようになる」なんてことまで考えられます。




人間の「主体性」とは?


ここまで考えると、「そんなことになったら人間に主体性がなくなってしまうじゃないか!」と思いますよね?

では、そもそも人間の「主体性」とは何ですか?

あなたは、先祖から受け継がれてきた遺伝子によって構成された人間であり、そこで得る、生まれ持った身体的特徴は「主体性」のないものです。(あなた自身が選ぶことはできません。)

生まれた場所(国)や時代によっても、その国の法律や制度、環境の中で生活することになります。(これも選択することはできません)

そして、「主体的」に過ごしてきたつもりの人生も、与えられた環境の中で育ち、親や友人、恩師や恋人などの思想や助言に強く影響を受けながら、また、テレビや雑誌などのメディアが発信する情報を信じながら過ごしてきています。

宗教を信仰する人はその教義を信じ、その制約のなかで生きることになります。

それらを踏まえて、論客の一人である作家の小川 哲(おがわさとし)さんは、「もともと人間の主体性なんてものは幻想で、フィクションである」としたうえで、「でも、『主体性』があることにしないと、『刑法が成り立たない』などの問題があるため、建前上『主体性』はあることになっている」という考えを述べていました。

ここまで考えると、「じゃあ人工知能を信じて行動することが最適解なのか?」という疑問が出てきます。




人間が「考える」意味とは? 


では人間は自分の頭で考えることを諦めて、ビックデータを基に判断を下す『人工知能』を「神」のような存在としてとらえ、“言いなり”になることで幸福に暮らすことができるのでしょうか?

そうとも言い切れない要素のひとつが“偶発性”の存在です。

膨大な情報を基に下された判断も、“可能性が高い”というだけで、“絶対”ということではありません。
統計的には、うまくいくはずの無かった物事でも考えて、行動することによって、ビックデータからは予測出来なかった、偶発的な出来事が起き、事態が好転する可能性を秘めています。

その“偶発性”が今後、これからの時代を考えるうえでとても重要な鍵になってくるはずです。




結局どうすればいいの?
 


人工知能の統計に支配されてしまうと、まだ努力してない事に対しての可能性が潰されてしまい、努力の放棄につながります。

ビックデータから予測される結果はあくまでも“確率が高い”というだけで、そこをうまく利用しつつ、自分の頭でしっかり考え、行動し、努力を続けることが重要だと思います。

この記事を書き始めた時、右手の人差し指は無意識に右の鼻の穴に入っていたのですが、指先で“とても太く、短い鼻毛”の存在に出会い、文章を考えつつも、右手親指と人差し指の爪の先端で「毛抜き」を作り、出会ってしまった鼻毛をなんとか抜こうとするのですが、2本の指は太く、また、爪は短く切りそろえたばかりだったので、穴の奥に存在する鼻毛を捕まえることは困難を極めました。
しかし私は、自分の頭でしっかり考え、行動し、努力を続けた結果、「人工知能に頼ることの是非」の項目のあたりで、無事に抜き取ることが出来ました。

少し涙は出ましたが、今は達成感でいっぱいです。

ってなんのはなしやねん。


 

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